俺様主人の拾われペット





そう思うのに

どこか心は寂しくて。
自分でも一気に顔色が沈んでいるのが良く分かる。





「……着きましたね。」

「あぁ…気をつけてな。」






いつもと同じ様に車を降りて
ドアを閉めて通学路を歩く。


…仁美さんの言葉に
あれ以上何も返せなかったけど




(…私も謝らないといけなかったんだけどな…。)





言おうとしたけど
なんだか言える気分じゃなくて
ついに言い逃してしまった。


…帰ったらきちんと謝ろう。



そう誓って学校へと向かった。














「おーはーよっ!
昨日はどうだった?楽しかった??」

「あ…雛、おはよう。」






教室に入れば
いつもより早く来ていた雛が
テンション高めに私に抱きつく。



…凛太朗くんから何も聞いていないんだ。






「あぁ…昨日は……ちょっとね。」

「……え…何かあったの?」





私の言葉に雛が顔色を変えて聞いてくる。

こういう時、雛は割と真面目だった。






「…実は…。」







まだクラスメイトがあまり来ていない朝のうちに
雛に昨日のことを説明した。


謝られたこと、楽しく話したこと、
帰り際に…キスされたこと。

仁美さんにそのあと連れて帰られたことも軽く説明すると

雛は深くため息をついた。






「ごめん……まさか凛太朗くんがそんなことするなんて思わなくて、私…。」




そっかぁ、凛太朗くんが…
と真剣に考え始める雛。

これからはこんなことしないと約束して
なるべく今は距離を置かせるように協力すると言ってくれた雛に
私も笑顔で頷いた。





…仁美さんとのその後の家での事件は
さすがに雛にも言っていない。
言うつもりもない。


私が早く気にしなければ済む問題だし…


と思いながら
絆創膏の貼られた そこ に手を当てる。





(……何でこんなに…モヤモヤするのかな…。)






< 65 / 142 >

この作品をシェア

pagetop