俺様主人の拾われペット
学校につけば、すでに先生と千夏が校門の前に来ていて
俺は車から降りて2人に近づく。
「すいません、お待たせしました。」
「いえ。早川さん、お大事にね?」
「あ…はい。ありがとうございます。」
先生に挨拶をして
送り出された千夏の表情は沈んでいて
元気がないのは明らかだった。
---確実に何かあった。
それを察して俺は千夏を車に乗せて
先生に一礼して車を走らせた。
「……どうした。」
「………。」
助手席に座る千夏をチラッと横目で見ながら話しかける。
今にも泣きそうな顔をして下に俯く千夏。
そしてしばらく沈黙が続いてから
やっと千夏が口を開く。
「…何か今日学校に行ったら、誰かが昨日私と凛太朗くんが出掛けてるの皆に話しちゃったみたいで」
「--------!!」
「勝手に付き合ってることにされてたり
キスしたことも何故かバレてて……。
それで私、混乱しちゃって。」
「こんなことで早退なんて馬鹿だなぁって思うんですけど…
皆にからかわれるのが耐えられなくて…ごめんなさい。」
自嘲気味に苦笑いをしながら
俺にそう謝る千夏。
俺はその言葉に驚いて言葉が出なかったが、泣きそうな千夏の頭にとりあえず手を置いて撫でてやった。
「………。」
(-----あの小僧。)
昨日の男の顔を思い浮かべ、苛立ちがわく。
千夏を落ち着かせてから
俺はゆっくり口を開いた。
「……高校生ってのは噂好きなんだ。
でもすぐに飽きる。気にするな。
…今日はもう気晴らししよう。」
そう言って俺は千夏を乗せた車を
家とは反対方向へ走らせる。
会社には事情を説明して休みをもらった。
好きでもない男と噂になって
おまけに無理矢理されたキスで騒がれるなんざ
ショックだし傷もつくわな…。
(……俺がこいつと同じ学校にいれば)
俺も学生だったら
その時に助けに行けたのに。
守ってやれなくてごめんな
そう心で呟きながら俺は目的地まで車を走らせた。