俺様主人の拾われペット
な、何これ。
な、何この状況。
(し、ししし心臓の音聞こえるんですけど…!!)
体が密着した状態で
後ろから抱きしめられるように近い。
私がその行為に固まっていると
「…もしかして…男慣れしてないのか。」
後ろで面白そうにフッと笑って耳元で囁く男の人。
その行為に私は顔に熱が集まる。
「う、うるさい…です。」
「へぇ…?こんな心臓バクバクさせといて…言うなぁ?」
「っ……。」
男の人は更に体を密着させて
彼の息遣いが耳で聞こえる。
私は顔を下に向けて顔を見せまいとする。
(うぅ…何でこんなこと…。)
彼の意図がわからず困惑する。
「は、離れてください…!!」
「嫌だね。主人を変態扱いする犬にはきちんと躾をしないと…だろ?」
そう言って彼は
ふせる私の顔を手で掴み
上に向かせる。
上から見下ろす彼と
目があって更に恥ずかしさが増す。
「…そんな目で男を見ると、俺みたいに食われるぞ?」
「何言って…-----っ?!」
そう言われると
彼の顔が降りてきて
気づくと唇が、重なっていた。
私の熱なのか
彼の熱なのか。
熱くて思わず胸の奥がドクン…と鳴った。
「っ…!な、何するんですか?!」
「マーキング。」
当然のように言う彼に
赤面しながらわなわなと震える。
彼は完全に私の反応を楽しんでいるらしく
顔を近づけたまま怪しく微笑む。
「…それと、色々教えることがある。」
「教えること…?」
彼は私にそう言うと
くっつけていた体を離して、話し出す。
「まず、俺の名前は大宮仁美(オオミヤ ヒトミ)だ。大宮じゃ家の中では通じないから下の名前で呼ぶこと。」
つまり、仁美さん…って呼べばいいのかな?
少し戸惑いつつも
私は未だ壁を向いたまま頷く。
「それと…約束事が3つある。」
(約束事…?)
人の家だし、約束事くらい普通か…。
私は黙って仁美さんの言葉を聞く。