俺様主人の拾われペット
今日一日
そのことで頭がいっぱいで
どうしよう、どうしようと考え込んでいた。
とりあえず今から仁美さんに会うし
このことを相談…
『もしあの男がお前に近づいてきても全力で逃げろよ。』
…で、できない…。
そうだよ私逃げるも何もすぐ捕まって---
(ど、どどどどうする私…!!)
と下駄箱まで考え込みながら歩き
学校の玄関を出ると…
「…お、来たな千夏。」
「ひっ?!」
玄関を出てすぐ
まだ学校の敷地内だと言うのに
仁美さんが私を迎えに来ていた。
…というか立っていた。
「どうしたんですか?!
てか何で中に?!てか何で私服?!」
混乱のあまり声が大きくなり
周りの生徒から視線を浴びる。
女子の視線が痛いのは今更だけど
他の人の視線も集めてしまった。
「ひ、仁美さん…!ここは目立ちますから早く出ましょう…!!」
「あ〜…女共がうるせぇもんなここ…。」
お、女共って…。
私は仁美さんを引っ張って
そそくさと校門を出る。
そしていつもの車の待つ場所へ向かった。
「仁美さんどうしたんですか今日は…。」
「あー、いや、ただお前今週の土曜学校だったっけかと思って。」
「土曜…ですか?
それなら午前授業ですけど…。」
「午前授業…まぁそれなら大丈夫か…。」
ブツブツと独り言を言って
仁美さんは携帯で誰かに連絡を入れると
車を開けていつものように乗り、走り出す。
「どうかしたんですか?」
「ん?あぁいや…。
あ、お前土日開けておけよ。いいな。」
「え、わ、わかりました…。」
(……?)
変だなぁとは思いつつも
仁美さんにはそれ以上何も聞かずに
その話を終わらせた。
「にしても…どうして今私服なんですか?
今朝は普通にスーツだったのに…。」
かっちりとしたスーツとは一変。
シンプルな白のVネックTシャツに
タイトな黒パンツという
モノクロでシンプルな服装に。
(ものすっっごく普通の服装なのに…)
どうしてこう…着こなしているというか
キラキラしたオーラがあるのは何故なんだろう…。
さすが仁美さんとしか言いようがない。
「動きにくいから着替えた。
今日は仕事が早く終わったからな。」
会議も無いし今日は平和だった
と答える仁美さん。
確かに珍しく疲れていない気も…
いやでも仁美さんはいつも同じテンションだからいまいちわからないけど…。
「それよりお前、今日どうだった。
あいつと接触あったか?」
----ギクッ。
「え?
えっと〜…な、何も…。」
「…嘘はつくな。」
「………。」
ダメだ…
私は嘘が下手すぎる…。