俺様主人の拾われペット
「…まぁとりあえず上着着るからこっち向け。」
壁に向いたままの私と顔を合わせるべく
仁美さんが折れて、服を着ることに。
いや、まぁその状態が普通なんですけどね。
着たぞ、と言われ振り返る。
きちんと服を着た仁美さんが、こちらを向いていた。
「えーっ…まず1つ目、出かける時は必ず連絡すること。」
迷子になった時とか、心配になるから必ずだぞ
と念を押される。
そして
連絡先教えとくから、貸せ
と言って仁美さんから
携帯を出すように言われる。
………。
私が仁美さんの言葉に止まっていると
どうした?
と仁美さんに顔を覗かれる。
「…携帯持ってないです。」
「…は-------。」
私の一言に目が点になる仁美さん。
まるであり得ないとでも言うように混乱している。
だって私、施設育ちですから…
そんな贅沢なもの持ってませんよ。
「け、携帯持ってない人間が現代に存在するとは…!」
「いやたくさんいますから。」
お坊ちゃん育ちの仁美さんには信じられないらしく
今すぐに買ってやると言って
すごい剣幕で私の肩を掴んだ。
いや、そんなヤバいぞみたいな顔しなくても…。
「…じゃあ2つ目。」
そう言ってまた先ほどのように普通に戻る仁美さん。
腕を組みながら壁に寄り掛かりながら言う。
「嘘はつくな。
ついたら、お仕置きだからな。」
と言って怪しく口角をあげる仁美さん。
その姿に少しゾッとしながらも
分かりました、と頷く。
(この人…変態なのか悪戯好きなのかよく分からない…。)
冗談で言ってるのか本気なのかいまいちよく分からない彼の表情に
困惑する私。
そして最後の約束…
「3つ目…俺の言うことに逆らうな。」
「…へ……。」
最後の最後で
彼の独裁者的発言が見受けられました。
普通こんなこと言われたら
何言ってるの?馬鹿じゃないの?
と冗談扱いできるのに
「っ……。」
こんな時に限って
彼の目は本気で。
捕らえられるように見つめられた視線に
私は自然と
はい…、と返事をしていた。