俺様主人の拾われペット
「私から見ると、千夏様は仁美様をだいぶ慕っていらっしゃるように感じますが。」
「…慕ってるだぁ?」
どの変が?
と思わず口に出そうになったが
何と無く言うのを止めておいた。
慕ってるったって
そりゃあ俺が拾ったんだ、主に懐くのは当たり前だろ。
でも俺が言ってるのはそういう家族愛じゃなくて…!
(……男として、好きになって欲しいんだよなぁ…。)
兄みたいに、とか
父親代わりに、とか
そんなんじゃなくて
もっと…親密な愛を求めてるのが俺。
でも多分あいつは…そんなのを俺に求めてはないと思う。
「俺のこと男として見てんのかアイツ。」
「…見ていると思いますよ。
仁美様を気にしてらっしゃいますから。」
「俺を気にしてる…?」
どういうことだ、と花崎に尋ねれば
花崎は曖昧に微笑んで
俺が飲んだ紅茶を片して
ティーカップを持ってソファから腰を上げる。
「仁美様からの愛情の意味を一生懸命考えていらっしゃいましたよ。」
と一言、言葉を俺に置いて行き
花崎は片付けに行ってしまった。
(んだよ…言い逃げかあいつ…。)
と眉間に若干シワを寄せるも
すぐに元に戻し、また天井を見上げる。
------俺からの愛情の意味を考えていた…か…。