俺様主人の拾われペット





そして千夏の学校に到着し

気をつけろよ〜といつも通り
声をかけて登校させた。

そしてすぐに車を走らせる。




「…仁美様、大丈夫ですか?」

「…大丈夫じゃねぇ。すごい眠い。」

「そのご様子だと、昨夜は眠れませんでしたか。」






お前の言葉のおかげでな、と心で呟くが
俺はあぁ、と一言だけ言って外に目を向ける。



"俺を気にかけてる"

そんなこと言われたら気になって眠れないに決まってんだろ。



花崎には真っ直ぐに千夏を好きだと
伝えた覚えはないが
あいつは勘が鋭いから察している。

それを分かった上であんな言葉を残すなんて






「お前予想ついてたんじゃねぇのか?」

「…何のことでしょうか。」






と口角を少し上げて言う辺り、
予想はついていたんだろう。

まぁまさかこんなクマが出来るとは思わなかっただろうがな。






(全部を察している花崎が憎たらしく思えてきた…。)






こいつのことだから千夏の話も聞いているんだろう。

どっちの意見も聞いた上で
この結末を予測できている感じが
すげぇ腹立つが羨ましい。






「…はっきり言ってはくれないのか。」

「言ってよろしいのですか?
…仁美様は嫌がると思ってやめておいたのですが。」

「…フンッ。まぁその通りだな。」







答えを知りたい気持ちもあるが
知りたくない気持ちもある。

ここで知ってしまっても面白くないからな。






(……土曜だな。)







全てはその日に起こると
俺は考えながら会社へ向かった。







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