俺様主人の拾われペット
「……すぅ〜…はぁ〜。」
で。
で!
とうとうその時がやってきてしまったわけです。
4時間なんてあっという間で。
下駄箱の前で深呼吸をして心を落ち着かせる。
と、その時
ザワザワザワ…
と辺りが騒がしくなる。
…あれ、気のせいかな?
女子の歓声が聞こえるような…。
私はゆっくり横を向いて
校門の方を見た。
「きゃー!!モデルさんですか?ここの卒業生か何かですか??」
「誰か待ってるんですかー??」
「今何歳ですか?!
良かったら連絡先交換してくださいー!!」
(----------。)
……おい!!!
いや待って!
え、絶対この取り巻きあの人のだよね?
完全に前と同じパターンだよね?!
(いやいや何してんのあの人…!!)
前にも同じようなことあって
自分困ってたのに…!
車で待ってればいいのに何でわざわざ…!
なんで思いながら猛ダッシュで取り巻きのいる方へ向かった。
必死でかきわければ
案の定不機嫌そうな顔で身動きの取れない仁美さんが。
「っ…悪いが人待ちなんだ。道を開けてくれ。」
「きゃー!!声までかっこいいー!!」
「--------。」
何を言っても逆効果の仁美さんを見て
一瞬笑いそうになったけど
そんな場合じゃないと我に返って
仁美さんに声をかける。
「仁美さん!!何してるんですか!」
「!!
ここにいたかチビめ。」
そう私に気づいて言えば
軍団の中から私をつまみ上げ
先ほどの困りようは何だったのか
人をかき分けてズンズンと車の方へ向かっていく。
(サングラスかけてるのにこんなに人が集まるなんて、やっぱりオーラが違うんだなぁ…。)
と、芸能人のスキャンダルを受けている気分になりながら
車に乗せられる。
そして軍団が来る前に素早く発進させ
しばらくして仁美さんのため息が聞こえた。
「バカ犬が。携帯ぐらい見ろ、せっかく買ってやったのに。」
「え、連絡してたんですか!」
「早く来いって言った。
なのに返事もお前も来ねぇから行ってみれば…。」
何だあそこは、相変わらず野獣ばっかだな。
と仁美さん。
いやいや言い過ぎですって…。
「気づかなくてごめんなさい。
あの、今日はどこに…?」
「あぁ…まぁ着いたら分かる。」
仁美さんはそう言って
サングラス越しに笑って運転を続けた。
(………?)
私は不思議に思いつつも
車が目的地に着くのを待つしかなかった。