俺様主人の拾われペット





「…ひ、仁美さん…。」

「………。」





私は仁美さんの名前を呼ぶ。

しかし仁美さんからは反応なし。



あれから仁美さんは
彼らを置いて人の多い道をひたすらズンズン進んでいた。




(…仁美さん、怒ってる…。)





雰囲気と言いオーラに、
たまに見える横顔は眉間にシワを寄せている。
怒ってるのは一目瞭然だった。



私は仁美さんの後をついて行きながら
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。





「………。」





しばらく歩いたところで
歩いてた道を外れて
ひと気の少ない場所に出た。

そこで仁美さんが私の手を掴んだまま
前に向き直る。





「…仁美さ「悪かった。」





----------え?





仁美さんから出たのは
思いもよらない謝罪の言葉だった。


何で?どうして仁美さんが謝るの?

悪いのは私の方なのに…。





「いえ、私こそごめんなさい。」

「いや、俺が悪い。
こんなところでお前を1人にした俺が悪かった。
…怖い思いさせてごめんな。」





仁美さんが眉間にシワを寄せながら
申し訳なさそうに困った顔をした。




(…仁美さんは、本当に優しいな。)






「大丈夫ですよ。
仁美さんも、助けてくれてありがとうございました。」





私が少し笑ってそう言うと
仁美さんはまた困った顔をしながら
買ってきた焼きそばを私に手渡す。





「…ここなら、人も少ねぇしゆっくり食べれんだろ。」






そう言って仁美さんは私から手を離して
近くの座れる場所に腰掛けた。

私もその隣に腰掛ける。





「こぼすなよ。せっかくの浴衣汚したらもったいねぇからな。」

「大丈夫ですよ!そこまでお子様じゃないです!」

「どうだかな。お前は目が離せねぇから。」





----------ドキッ




(………あれ?)




"目が離せない"

私はその言葉にふと心臓を高鳴らせた。



それから何故か言葉が喉から出てこなくて
恥ずかしくて少し顔をうつむかせながら焼きそばを食べる。





「…ひ、仁美さんも食べますか?美味しいですよ。」

「ん…じゃあ。」





ん、と言われ
私は?と思い仁美さんをみれば





(へっ…?!)




仁美さんが口を開けて私を待っていた。

え、これってまさか…




あーん、ってやつですか…⁈





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