俺様主人の拾われペット
-仁美said-





千夏がゴミを捨てに行っている時に
千夏の視線の先に誰かいるのに気付く。


俺もその方向を見れば
身長の分割りとはっきり姿を捉えられた。





(………へぇ。)






千夏も相手も互いに気づいてない様子で
多分俺だけが気が付いていたんだと思う。






「…千夏、行くぞ。」

「あ、はい。」






俺は千夏を呼んでそいつの進む方向と逆方面に足を進めた。



…今日は2人の時間を壊されたくない。

仕方なく避けよう、と思い
千夏の手を握って前へ進んだ。





「何か他にやりたいこととか食べたいものは?」

「あ…ベビーカステラ食べたいです。」

「あぁ、あれか。
…お前も結構好み幼いな。」





焼きそばといいベビーカステラといい
お祭りならではの定番コースだ。

チョイスが幼くて
…まぁ正直言うと
可愛い趣味だな、と思ったということ。


しかしそのまま意味を受け取った
千夏は少し拗ね気味に





「…お、幼くないですもん。
これが女の子は普通…だと思います!」




そう言った。

やはり意味がきちんと伝わっていなかったらしい。




「あぁ…そうだな。女らしい。」

「!」





俺の返事の言葉に
千夏は驚いたのか目をパチパチと瞬きさせながら

照れたように視線を外した。

こころなしか頬が赤くなっている気がする。




(暗くても、割とわかるもんだな…。)





こんな照れ屋でシャイな部分も
…好きだなぁと思う。


まぁこいつはきっと気づいてない。






「…今度は一緒に行くぞ。」

「あ…はい!」





先ほどの反省もあり、今度は間違えない。

目が離せないこいつのことは
俺が代わりに守ってやらないといけないんだ。





千夏を拾った時からの心の決め事だった。
今保護者の俺には当然の守るべき義務だ。




「…いい子だ。」






俺がそういえば
千夏は満足そうに優しく微笑む。



-----無自覚のこの笑顔も

きっとこんなに見れるのは俺だけ。



(……俺の気持ちに気付いたら…)




お前、どんな顔するのか。

どんなこと言うのか。





俺は店を探しながら
そんなことも考えていた。




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