サヨナラの向こう側
アイスラテやフローズンピーチとか、ちょっとオシャレなソフトドリンクは飛ぶように売れた。


慶も私も、仕事中は集中して販売に徹した。



そして、店長から、


「慶、美久ちゃん、そろそろあがっていいよ。


もうすぐ花火始まるぞ」


とお許しが出たので、慶と一緒に挨拶して店を出た。




花火が見える川岸までは、歩いて10分くらい。


普段、店で慶と話すのは全然平気なのに、急にふたりっきりになると、なぜか緊張してしまった。


慶は、私の少し先を歩いてる。


私は黙ってついていく。


緊張するのは、お互い見慣れない浴衣だからだ。


そう思いながら歩いていたら、慶が急に足を止めた。



「どうしたの?」


慶を見上げると、


「千広、ひさしぶりだな」


と挨拶してた。




慶の目線の先には、浴衣姿の恵未と手をつなぐ千広がいた。






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