サヨナラの向こう側
私の家までは、歩いて10分くらい。


「慶の大学はまだ夏休みだから、うらやましいよ」


「美久は学部決めた?」


「ううん、まだ決めてない」


「ま、美久は文系だろーな」


「なんでそう決めつけるの」


「数字に弱いから」


「悪かったですねー、計算が遅くて」


「数学、ついていけてんの?」


「無理に決まってんじゃん、千広に教えてもらってるよ」


「やっぱな。


じゃ、俺が教えてやるよ。


数学は高2までだけど、あんまりひどい点だと内申に響くぞ」



慶は、理工学部なんだ。


大学付属だけど、希望の学部に行きたいなら、高3でやる統一テストだけじゃなくて、普段の内申も大事だから。


「いいよ、慶はまさに理系って感じで厳しそうだから、千広に教えてもらうよ」



< 115 / 270 >

この作品をシェア

pagetop