サヨナラの向こう側
「なんだよ千広、盗み聞きか?」


「すみません、でも、そんな大きな声で話してれば、聞こえますよ」


「じゃ、そういうことだから、これからは俺が美久に教えるってことで」


「わかりました」



千広は、私たちを追い抜いて帰ろうとしていた。




「千広、待って」


「なに?」


「あの、えっと、LINEの返事がなかったから、どうしたのかな、と思って」


「別に、大した用事じゃなかっただろ。


いいじゃん、俺たち、ただの幼なじみだし」


「そんな言い方しなくても・・・今まで返事くれなかったことなんて、一度もなかったし」


「じゃ、俺疲れてるから、帰る」


千広は、そのまま行ってしまった。




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