サヨナラの向こう側
私はそこまで一気に話すと、またコーヒーを一口飲んだ。



慶は黙ったまま、真剣に話を聞いてくれた。




しばらく沈黙が続いたあと、慶が口を開いた。


「そっか、始業式の日は、怖かっただろ。


先生はヒーローみたいなもんだな。


でもさ、たぶん報われない想いなのに、つらくないのか?」


「文化祭が成功したら、もう一度告白しようと思ってる。


それでダメだったら、あきらめるかもしれない。


でも、あきらめられない気がするけど」



そう。


結局、先生を好きな気持ちは、何にも変えられない。


学校にいる時は、目で追ってしまうし、ちょっと挨拶しただけで、その日ずっと幸せな気分になる。


人を好きになるって、たとえ報われなくても、相手が誰であっても、こんなにも力をくれる。



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