サヨナラの向こう側
歩き疲れて、水族館の中の、ペンギンを見ながらお茶できるカフェに入った。



「キレイだったねー」


「美久、夢中で見てたもんな。


たぶん、俺のことなんか忘れてただろ」


「バレた?」


「ひっでーな」




笑いあう私たちを、まわりは恋人同士だと思うのかな。



でも、ちがう。


お互いに、想う人が違うから。



慶と一緒にいるのに、この瞬間も、私は先生のことを想っている。




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