サヨナラの向こう側
先生は、困った顔をして黙っていた。



沈黙が続いたあと、苦しそうに言葉を絞り出した。




「佐藤、ごめん。


お前の気持ちには、こたえられない。


春につらい想いをしているのに、誰かを好きになるまで回復したのは、良かったと思う。


でも、俺じゃない誰かを、好きになれば良かったな」




そうだよね。


先生が、私だけを好きになるはすがない。



わかってたよ。


わかってたけど、なんで涙が出るんだろう。



「先生、好きになっちゃってごめんなさい」


「いや、俺こそ、ごめん」




先生の次の一言が、私にとどめをさした。



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