サヨナラの向こう側
「俺、もうすぐ結婚するんだ」
結婚。
予想もしていなかった言葉。
もう、これ以上、先生を好きでいても、ダメなんだ。
想いは絶対に、かなわない。
「あのピアスをあげた人ですか?」
「そうだよ」
「おめでとうございます」
「ありがとう。
まだ誰にも言ってないから、内緒な」
先生は、嬉しそうに笑ってた。
私もつられて、笑った。
「先生、さようなら」
私は、たぶん笑って、部屋をあとにした。