サヨナラの向こう側
ただ、キレイな夜景を見ていると、気持ちが癒されていくのがわかった。


抜け殻のようになった私の中に、慶の優しさがしみわたっていくようだった。




私は、ひとりじゃないんだ。


ひとりではないけど、特別な人はいない。


家族とも友達とも違う、特別な人が。




これからどこで出会うかわからないし、もう出会っているのかもしれない。


だけど、特別な人は、皆川先生ではないことは、確かだった。


私にとって、それが一番つらいことだった。




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