サヨナラの向こう側
「そろそろ帰るか、送るよ」


「うん」


「ほんとは、帰したくないけどな」


「ごめんね」


「いいんだ。


俺は、待ってるから」




それからバイクに乗って、家まで送ってもらった。


「ありがとう」


「じゃ、またな」



ヘルメットを返す時、慶は私の手にそっとふれた。




「無理すんな」



バイクで帰っていく慶を、見送った。



そんな私を、千広が窓から見ていたことには気づいていなかった。


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