サヨナラの向こう側
「ま、俺は気が長いからさ。


ふと思い出した時にでも、連絡しろよ。


あ、そうだ、今度ここへ連れていってやるよ」



慶に見せられたスマホには、海が目の前に広がるテラス席の写真。


「うわー、すごい景色」


「晴れてないともったいないからさ、晴れたらすぐ行くぞ」


「すぐって?」


「平日でも、こっからなら1時間もかかんないし」


「ありがと」



慶の気持ちが嬉しかった。




「スマホの画面、いつから準備してたの?」


笑いをこらえながら私が言うと、


「うるせーな。


けど、やっと笑ったな」


慶は、私のほっぺを軽くつねった。


< 166 / 270 >

この作品をシェア

pagetop