サヨナラの向こう側
「そろそろ帰るか、送るよ」


「うん、ありがとう」



今度は、初めて乗った時みたいに遠慮がちに腰をつかむんじゃなくて。


慶の背中に、ぴったり寄り添った。



「美久、そんなにくっつくと、ヤバい」


「ヤバいって、なに?」


「・・・襲うぞ」


「それはダメ」


「まだ襲わねーよ。


美久が本当に俺を好きになってくれるまで、我慢する」


「我慢してるの?」


「当たり前だろ、俺だって男だぞ。


って、なに言わせんだよ。


あー、つきあい初めから幻滅されそう」


慶は、ほんとにガッカリした声を出したので、かわいそうになって、


「幻滅なんて、してないけど?」


と、フォローしておいた。


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