サヨナラの向こう側
「お、おつかれ」


「どうしたの、こんなとこで?」


「えっと、その、なんていうか・・・」


うわ、情けねえ。


客観的に自分を見て、心底そう思った。


「千広、美久になんか話があるんじゃないの?


俺、ちょっと外すわ」


「えっ、でも・・・」


美久は、慶先輩のことを見上げてた。



なんだよ、その眼。


そんな顔して、慶先輩のこと見るなよ。


でも、この機会を逃したら、もう謝れなくなって、このままズルズル会えなくなる気がした。


「慶先輩、すみません」


俺は必死だった。


「いいよ、ごゆっくり」


慶先輩は、また店内へ戻っていった。



美久が、ゆっくり俺の方を見た。


「どうしたの?


もしかして、この前のこと?」







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