サヨナラの向こう側
海のみえるカフェ
慶とつきあうようになって、変わったこと。


服装に気を使うようになったこと。


とはいっても、『バイクに乗るとわかっている時は、なるべくジーンズをはけ!』と言われているので、そんなかわいい服は着ていないかもしれない。



慶は、何をしても完璧なタイプで、隙がないというか、さすが理系というか。


たまに、一緒にいる時に大学の友達から電話がかかってくると、話の内容はさっぱりわからない。


だけど、わからないってことを言うと怒られそうで、黙ってた。


ほんとは、どんなことを話しているのか、聞いてみたかった。




大学祭を来週末に控えた水曜日。


来春入学試験を受ける中学生向けの説明会があるので、高校は臨時休校だった。


私は、特にすることもないので、カフェ・timeでバイトしてた。


平日はあまりバイトしないから、いつもシフトに入っている週末とは違って、割とすいていた。


11時すぎ、お店のドアを控えめに開けて、ショートカットの女性が一人で入ってきた。


「いらっしゃいませ」


私が声をかけると、少し年上に見えるその女性は、


「あ、あの・・・慶は、松下くんはいらっしゃいますか?」


と、立ったまま聞いてきた。


「申し訳ございません、松下は本日休みです。



何かお言付けがあれば、申し伝えますが」


と言うと、


「そうですか、ごめんなさい、また来ます」


と言って、慌てた様子で出ていった。




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