サヨナラの向こう側
慶からだった。


『美久、今どこ?』


『桜公園だよ』


『なんでそんなとこにいんの?』


『なんとなく、散歩してただけ』


『今から、例のカフェ行くぞ。


夕暮れには間に合うと思うし』


『わかった、待ってる。


あっでも、ジーンズじゃないや』


『スカートじゃなければ許す』


『じゃあだいじょぶ。


気をつけてね』


まだ15時すぎだし。


夕焼けの海が見えるなんて、楽しみ。


家に電話を入れて、夜ごはんはいらないと伝えたら、お母さんが、


『美久、彼氏できたなら、家に連れていらっしゃい』


と言うから、驚いた。


『なんでわかったの?』


『たまに家まで送ってもらってるでしょ。


お母さんが気づかないわけないでしょ』


と、あっさり言われた。





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