サヨナラの向こう側
お店に着くと、ちょうど夕焼けが目の前だった。


海をのぞむテラス席は、平日なのにけっこう埋まってた。


「すごくキレイだね」


「だな」


「また来たいね」


「今度は車かな」


「車の免許も持ってるの?」


「持ってるよ。


でも、車は維持費が高いから、自分で持つのはまだまだ先だな」


「そうなんだ」


家に車はあるし、車が高価なものだとは知ってるけど、他の費用のことなんて、何も知らなかった。


自分の知識のなさが、情けなかった。


同時に、慶との年の差以上の距離を感じてしまった。



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