サヨナラの向こう側
「美久、待てよ!」


慶は呼んでたけど、振り返ったら、佳菜子さんに腕を組まれて止められてた。




佳菜子さんとは、腕を組んだりするんだ。


私とは、手もつながないし、腕も組まないし。


キスしてくれたし、抱きしめてくれたけど。



佳菜子さんとは、キス以上のことも、したの?



なんだろう、この気分。


これって、ヤキモチ?



一人で考えながら歩いていたら、誰かの背中にぶつかった。


「あっ、ごめんなさい」


振り返った、目の前の人は。






「どうしたんだよ、美久」




千広だった。





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