サヨナラの向こう側
「なんか、恥ずかしいね」


「美久は気づいてなかっただろうけど、中学の時から好きだったんだ。


一緒の高校行きたくて、猛勉強してさ。


幼なじみじゃなくて、特別な一人になりたかったのに、美久は全然気づかねーんだもんな」


「ごめん、ほんとに気づいてなかった。


そもそも、誰かを好きになるってことが、よくわかってなかったんだよね。


だけど、皆川先生を好きになって、苦しくて、相思相愛って、奇跡だなって思った」


「慶先輩に、一人でちゃんと話せるか?」


「だいじょうぶだよ、もう迷わないよ」


「わかった、がんばれよ」


千広が、私をギュッって抱きしめた。




あんなに小さかった千広が、私より頭ひとつ大きくなってる。


偶然目の前の家に住むことになって。


その時から優しかった千広。


思い出を共有してきた私たちだから。


これからもずっと、一緒にいられるはず。










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