サヨナラの向こう側
最後まで、慶は厳しくて。


でも、慶の言葉は、なぜか素直に聞けるんだ。



「バイトもやめんなよ。


せっかくいろいろ覚えてきたんだし。


ま、千広は妬くかもしんないけどな」


「バイトは好きだし、続けるよ」


「じゃ、帰るか」



慶は、どこか覚悟を決めていたようで。


あっさりと帰ることになった。


だけど、バイクのメットを渡されたとき。



おでこにチュッって、キスされた。



ビックリして見上げたら、


「俺、まだ美久のこと好きだから。


千広とケンカしたら、いつでも戻ってこいよ」



慶は、ニヤニヤしてる。


「からかわないでよ、もう」


「本気にした?」


「本気になんかしてない!」


「ま、今後は、お兄さまができたと思って、俺に頼りなさい」



慶、傷つけてごめんね。


ほんとに、ありがとう。







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