サヨナラの向こう側
私たちが盛り上がっていた昼休み。


千広を探すと、スマホをのぞきこんでた。


そっと近づいて、


「なに見てんの?」


って聞いたら、


「えっ、べ、べつに」


と、あわててスマホを隠した。


「あやしいなー、なんかやましいことでもあんの?」


「ないよ、見んなよ」


そのまま、教室を出ていっちゃった。


「あーあ、行っちゃったね、千広くん」


恵未は笑ってるけど、私は笑えなかった。


千広、なんか、隠し事してるの?


スマホをこっそり見ようなんて、思ってないけど。


やっぱり少し、さみしかった。


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