サヨナラの向こう側
トイレに行って戻る途中、皆川先生に会った。


「先生、こんにちは」


「おう、佐藤。


あ、ちょうど良かった、ちょっと手伝って」


そう言って、ふたりで職員室に入り、プリントの束を渡された。


「これ、5時間目の英語で使うから、持って行ってくれるか?」


「はい、わかりました」


「悪いな、俺はラジカセとか持ってかなきゃなんないからさ、助かった」


「いいえ、だいじょうぶですから」



先生と、こんな風に何でもない会話ができるようになって、良かった。


もう先生にはドキドキしなくなったのは、私が変わったからかな。



そうだ。


先生には、報告しとこう。


「先生、私いま、岩田くんとつきあってます」


職員室だから、小声で伝えると、


「おめでと、岩田なら心配ないな」


って、笑った。


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