サヨナラの向こう側
翌日。


英語部が終わって、サッカー部が後片づけしてるグラウンドを見たら、千広もボールを集めていた。


「千広!」


って声をかけたら、


「ごめん美久、先に帰ってて!」


と、断られた。


納得いかなくて、千広に向かって歩いていったら、千広は観念したのか、私を待っていた。


「千広、なんで隠し事するの?


昨日だって、声かけてもLINEしても返事ないし」


「隠し事なんかないよ、疲れて風呂入って寝ちゃっただけだよ」


「嘘だ、なんか隠してるでしょ、わかるんだから!」


まわりからは、「なんだ、もうケンカか?」とからかったり笑ったりする声が聞こえた。


「隠してなんかいないから、とにかく帰れよ」


カチン、ときた。


「なによその言い方、もう一緒に帰らない!」


校門へ走りながら、涙が出てきた。


せっかく、これから楽しくなると思ったのに。


つきあってるっていう既成事実ができたら、もうほったらかしなんだ。


釣った魚に餌はやらない、ってこと?


悲しくてさみしくて、千広が何を考えてるのか、わからなかった。


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