サヨナラの向こう側
「おはよ」


「え、お、おはよう」


「ビックリした?」


「うん、いつ免許取ったの?」


「美久とつきあいはじめてから、すぐ教習所行った」


「それで最近、コソコソしてたんだ」


「そ、後ろ乗せるのに、友達乗せて練習したりして。


バイクは兄貴のだし、メットはもらったやつだけどさ。


ほら、乗れよ」


「うん、でもさ、今日雨だったら、どうするつもりだったの?」



「・・・そんときはそんときで、ま、なんとかなるかと」


「ほんとは何も考えてなかったんでしょ」


「いーじゃねーか、早く乗れよ」


「うん!」


千広の腰に手を回し、背中にくっつく。


千広の背中、こんなに広かったんだね。


「じゃ、出発!」


バイクは私たちを乗せて、冬晴れの冷たい空気を切り裂いて、走り出した。



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