サヨナラの向こう側
千広は、昔からこうだった。


私の予定とか全部把握していて、忘れっぽい私のフォローをしてくれる。


同じクラスになってからは、私の苦手な数学の課題もこっそり教えてくれたり。


ほんと、優しくて頼りがいがある、幼なじみ。



その日の放課後。


千広を下駄箱で待っていたら、テニス部の練習を終えた恵未と鉢合わせした。



「美久、岩田くんと待ち合わせ?」


「うん。


あっ、恵未も一緒に帰らない?」


「でも私、方向逆だし」


「いいじゃん、たまには、ね?」


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