サヨナラの向こう側
でも、毎回バイトに入るたびに慶は私にいろいろ教えてくれて。


ぶっきらぼうだけど、さりげなくフォローしてくれてるのに気づいた。


慶は、常連さんの注文を覚えてるし、ドリンクは全部作れるし、何でも知ってる。



最近は、休憩時間に少しだけ雑談するようになった。


慶は2つ年上の大学1年で、同じ付属高校からS大へ進学した、先輩だった。



「じゃあ、私が高1の時、高3だったんですね」


「美久は俺のこと知らなかっただろ」


「はい、知りませんでした」


「俺は知ってたけどね」


「えっ、どうしてですか?」


「美久はいつも、千広と一緒にいただろ?


俺もいちお、サッカー部だったからさ」


「そうだったんですね、世間は狭いですね」


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