サヨナラの向こう側
今日から5日間、英語部で高校へ行く。



制服を着るのは1週間ぶりで、なんだか変な気分。



皆川先生に会えると思うと、やっぱり喜んでいる私がいる。


ダイビングで助けてもらったお礼も、ちゃんと言えてない。


だから今日は、集合時間より早めに着くように家を出た。




校舎に向かうのに校庭の近くを通ったら、ちょうどサッカー部が練習してた。


千広もいるかな。


なんとなく足を止めて探したら、ちょうど休憩になったみたいで、


「美久!」


と、千広が私を呼ぶ声がした。



「千広、なんかひさしぶりだね」


「そうだな。


そういえば、美久バイトしてるんだって?」


「うん、夏休みからね。


誰から聞いたの?」


「たまたま美久のお母さんに会って、聞いた」


「そうなんだ。


そういえば、2コ上の慶先輩って、知ってる?


今バイト先が一緒なんだけど、同じサッカー部だったんだってね」


「知ってるけど」


「慶先輩って、何でもできて、すごいんだよ」


「あっそ。


じゃあ、俺、もう行くわ」


「うん、じゃあね」



校舎に入ろうとする私を、千広が呼び止めた。



「慶先輩と、つきあってんの?」


「えっ、なんで、つきあってないよ。


慶先輩には、千広とつきあってるか聞かれるし、なんか変なの」


千広は黙って戻ったから、私も部室へ向かった。





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