サヨナラの向こう側
部室をのぞくと、皆川先生はもう来ていて。


「おはようございます」


と声をかけると、先生も


「おはよう」


と返事をしてくれて。



その、笑った顔が好き。


でも、先生には彼女がいる。


諦めなきゃいけないのに。



そんな気持ちを口にすることもできず、


「先生、ダイビングの時はありがとうございました。


ちゃんとお礼を言えてなくて、ごめんなさい」


と、謝ることしかできない。



「あの時は焦ったよ。


佐藤は溺れてたからさ、俺も必死で人工呼吸して」


「・・・人工呼吸?」


「そうだよ、mouth to mouthってヤツ」




先生、それって、キスしたってこと?


< 93 / 270 >

この作品をシェア

pagetop