私が好きなのは…
浮気じゃないもん
「でね、昨日3時間くらい通話したの」
私は仲の良い友達にそのことを話した

「ねぇ、萩くんは!?」
「だって最近冷たいんだもん…息抜きだよ」

軽い気持ちで通話しただけなのに
友達はそれを「浮気じゃん」と言った

「違うもん!ただ通話しただけじゃん!」
「でも、通話はねぇ〜…」

仕方なかった…
所詮人間は楽しい場所を求めて
生きている…今更つまらないところに
戻る人間なんてそうとういない

私はこの時楽しさを求めてしまった
でも、楽しさだけじゃない…
ぬくもりさえも求めてしまったんだ…

でも、付き合ってないし
私が好きなのは萩だ…

ただそう言い聞かせた
あの人の優しさには、萩が好きでも
引き付けられてしまう…

今まででこんな気持ちは初めてだ
他の人に惹かれてしまうなんて…

そんな気持ちさえ私はなかった
ものにして、ただ我慢をした

心を許したら負けてしまう
その優しさに、その声に…

そしてその夜、また彼と通話をした
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