君に沈没。
青白く見えるほど白いワンピースは砂だらけだろうに、気にもしないミオは俺の幼馴染で。
いくつになっても俺のことをなっちゃんと甘ったるい声で呼ぶ。
「呼び出しに応じただけありがたく思え」
「やだー、偉そうー」
笑いながらも文句を言うミオに腕を掴まれ、仕方がなく座りこむ。
これは帰ったら母さんに怒られるな。
押しては返す、波。
子守唄よりずっと長い間聞いてきた音は耳に優しい。
その動きに合わせてきらきら光が揺れ動く。
なにも言わず、視線で海と砂浜の境界線をなぞっていると、ミオがふっと息を吐き出した。
「なっちゃんは優しいね」
「は?」
「なにも言わなくたって、待っていてくれる。悲しい時、そばにいてくれる」