恋妃
『おやおや、なでてもらったことはないんですか?』
『んー。俺、すっげー昔からあそこにいたから、よくわかんねー。華聖もなでてくれなかったし』
サルが振り向く。期待に満ちた瞳。ぱたぱたと振られる尻尾。…いやな予感。
『なー、華聖。今のもう一度やって』
『ざけんな、なんでこの俺が』
『だって、父上がやってくれただけで、こんな気持ちいーんだ。華聖がやってくれたら、もっと気持ちいーじゃん』
…どうしてコイツは、そんな事を恥ずかしげもなく言えるんだろう。俺の方が恥ずかしくて、たまらない。
『やっておやりなさい華聖』
『父上まで』
頭を俺に突き出して、サルはご満悦の表情で待っている。期待に満ちた尻尾がパタパタと揺れている。


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