指輪と私の物語1~焔~[完]
宿屋に泊まった私達は、翌朝村を出た。

モブ達の国の外れに、国境が見えてきた。


石造りの壁が左右に何処までも続いていた。


「スー。来い。他は待ってろ。」

国境の門には、モブの国の者と隣国の者が常駐していて、それぞれ出入国の手続きをしている。


モブが、スーを連れて門へと近づいた。

「まずは、荷物の確認をします。それから、入国審査を受けて下さい。」

「コレ」

モブが腕を指し示した。

それを見た、門の騎士が顔を青ざめさせた。

「申し訳ございません!あ、あの・・・」

モブが、その騎士を掴み寄せる。

「俺は、モブだ。」

「お~!」

モブが騎士の口を抑える。

「良いか?あまり公にしたくないんだ。」

そんなやり取りがあった事は、私は知らずに、馬車の中から様子を見ていた。

「モブは、何を見せたの?」

「王族の紋章だよ。」

バーンが、腕をまくる。

そこには、盾のような形の紋章があった。

刺青?

普段は、服で隠れているし、
泉で泳いだりしていても、気にも止めてなかった・・・。


「城の地下の、あの炎で刻印するんだ。」


熱くないの?

「熱くないし、痛くもないよ?」

そうなんだ。

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