指輪と私の物語1~焔~[完]
その日の夜は、野営となった。

焚き火の炎が、5人の顔を照らす。

焚き火の傍には、干し肉や野菜などが火に炙られていた。

「このまま行けば、明日にも着くわね」

マリの手元の地図には、色々と書き込まれていた。

国境で貰った地図だよね・・・。

モブは、肉の焼き加減を見ている。


「俺・・・ユーリが、家に帰れるように願ってる。でもな。」


モブの真面目な口調に、皆が思わず注目する。

モブの手元の肉は、その間も良い感じに焼けていく。

「まだ、そんなに日は経っていないが、本当の娘の様で・・・。」

「親父?突然どうしたんだよ?」

「なんとなくな?何が起きるか分からねぇ。だから、言っておく。」

モブ・・・。

「ユーリが家に来てくれた事、出会えた事に感謝する。」

「お、親父!それじゃあ、ユーリが居なくなっちゃうみたいじゃないか!」

「悪かった。さぁ!焼けたぞ!食え!」

「あたしも、皆と会えて良かったよ?」

モブから受け取った肉は、でかかった。

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