指輪と私の物語1~焔~[完]
高学年4
春休み。

家でゴロゴロと、好きな音楽を聞きながら
過ごす。

横では、母親は本を読む。

カセットテープが、カチャッと止まった。

幼稚園に行っている弟がいないから、静かだ。


眠くなってきちゃった・・・。


『おい』

ー!?

「今、お父さんの声しなかった?」

「佑里も聞こえた?」

うわー!何今の!?

もちろん父親は、仕事に行っていていない。

ハッキリ聞こえた声は、一体何だったんだろう!!

その日の夜に帰宅した父親に、その事を話すと、笑うだけで信じてくれなかった。


春休みが終わり、学年が変わる。

クラス替えはないから、久しぶりに見るクラスメイトは、変わらず元気だった。


喧嘩もするけど、基本的には仲の良いクラスで、私は好きだった。

そして、桜が舞い散り新緑の季節となる。

そんな頃だった。

「家から電話があった!鈴木は、家に帰れ!」

え?

何が起きたのか分からなかった。

よく分からないけど、早く帰れと言われる。


私は、体育の授業を抜け出し家へと急いだ。

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