恋愛症候群


「ね、愛美ちゃん」

『何ですか?』

松本さんは鞄からごそごそと
小さな袋を取り出した

「これ、出張のお土産」

『え、いいんですか!
ありがとうございます』

袋を開けてみると
イカの姿をしたご当地キティちゃん

『可愛い~!私がキティちゃん好きなの、
覚えててくださったんですね』

「あ~、愛美さんだけずるーい」

知沙ちゃんが私のキティちゃんを指差して、
頬を少し膨らまして拗ねている

『え、知沙ちゃんのは?』

「愛美さん以外、みーんなまりもっこり」

知沙ちゃんはまりもっこりのストラップを
指でつまんで私に見せてくれた

「いいだろ~まりもっこり!」

「松本さん、これ流行ったの
何年前だと思ってるんですか!」

俺は好きなんだよ!なんて言って
知沙ちゃんと言い合う松本さん

ブーブー文句を言い合う二人を見て
私はクスクスと笑っていた

平和なこの空間が、私は大好きだった

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