恋愛症候群
私はこのスナックに勤めて3年になる
3年前のこと
お昼の仕事で心身共に疲弊しきっていた
そんな私を見兼ねて拾ってくれたのが
ママの麻美(まみ)さんだった
麻美さんは元々同じ職場の先輩で
私より先に職場を辞めていた
ずっとお昼と夜を掛け持ちして働いていて
体調を崩した前のママから、
このお店を引き継いだと聞いた
「愛美ちゃん、一緒に働いて欲しいの」
その一言が、あの時の私の心に響いた
誰かに必要とされてる、そう思った
松本さんがあれ、そう言えば、と言って
私の目を見つめる
「愛美ちゃんって何歳になるんだっけ?」
『今年で24になります』
「知沙ちゃんは?」
「私は今年で20歳でーす」
知沙ちゃんが松本さんのお酒を
マドラーでくるくるかき混ぜている
「ママは何歳なんだっけ?」
『ママは32歳ですね
美香さんが26歳で、その次が私、
李奈ちゃんが22歳で、次が知沙ちゃん、
一番下が美希ちゃんで18歳です』
「あら、聞く前に全部教えられた」
『あ、ごめんなさい、楽しみ減らして!』
私は思わず、右手で口を覆った
お昼の仕事をしていた時に
相手が聞くことに対して
先回りして話をしなさい、と言われてた
だから多くを話してしまうのが、私の癖
良いことも、悪いことも含めて