恋愛症候群


『ごめんね、遅くなって』

「んーん、
仕事して起きてたから大丈夫だよ」

約束をして、2週間後の土曜日
いや、もう0時を回って日付も変わったから
正確に言ったら、日曜日か

お店の仕事を終えて、
私は徹也の住むアパートに来た

アパートはここ何年かで建てられた新築

徹也の部屋は2LDK
アジアン風に統一されていて
微かにお香の匂いがする

大きなスピーカーからは
アジアン風では無いけど
ゆっくりとした洋楽が流れていた

曲名はあの時聞いたんだけど忘れた
でも音楽に疎い私でも、
センスいいな、って思った曲だった

机の上には大きめのパソコンがあって
難しそうな本と書類が沢山ある

【現代医療の最先端技術と未来】
【医療と患者の実態】
【生還者が見た、走馬灯の真実】

なんだろう、本の内容が全く想像つかない…
医療系器具の販売会社の営業マンだとは
前に聞いて知ってたけど


「ごめんね、散らかってて
資料纏めておこうと思ったら
いつの間にかさ」

適当に座っていーよ、って言われて
ものすごく緊張していた私は
その場にとりあえず座った



徹也は冷蔵庫を開けて、
ミネラルウォーターを私にくれた

『ありがとう』

「何もそんなとこに座らなくても
緊張してる?」

徹也は私の頭をくしゃくしゃと撫でて
こっちにおいでよ、と言って
ベッドをポンポンと叩いて、
私をそこに座らせた

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