片想い連鎖
「遊乃、何にする?」
メニュー表を眺める苑に手招きされた。
随分と楽しそうに見るなぁ。
「あたしはーチョコバナナで」
独り言から、店員さんへの注文に変わった。
「じゃあ…イチゴチョコ」
メニューの1部を指さして小さめに言うと、「イチゴチョコでお願いします!」と苑が言い直した。
たまに気が使える…と思う。
「はーい」と裏に伝えに行った店員さんは、小柄で笑顔の可愛い女の人だった。
多分大学生。
別段給料の高そうじゃないこの店で、しかも表なら、アルバイトとかだろう。
…まぁ想像。
実際はわからない。
聞いたわけじゃないし。
「ねね、あなた、苑ちゃんじゃない?」
「へ?」
バッと私の顔を見た苑。
「…違う」