片想い連鎖
自分が発した言葉じゃない、と首を横に振ると、苑は頭をぶんぶんと振り、声の主を探した。
「ごめんね?驚かせちゃったよね…」
さっきまで注文をしていた場所に目を向けると、申し訳なさそうに眉を下げた店員さんがいた。
「あたしのこと…」
「えっと、宮路奏って言います。往来大学2年です」
「あ、お姉ちゃんと同じとこだ」
なるほど。
だから苑の名前を知ってたんだ。
偶然ってのもあるものだ。
「宙からよく苑ちゃんのこと、聞いてるよ〜。良いお姉さんをもったね」
「…ありがとうございます」
戸惑いながらも、受け答えする苑。
滅多に苑のこんな姿は見られない。
人見知りはしないから。