片想い連鎖
「お姉ちゃん?」
「……え!?」
「いやそんなに驚かなくても……。お風呂上がったよ。遊乃と部屋で遊んでるねー」
「うんー」
想像の中の苑が出てきたのかと思った…
あまり自分の世界に入らない方がいい。
現実と非現実の区別が、そのうちあやふやになってきてしまう。
ゆっくりと立って、お風呂場へと足を進めた、けど。
「ゆーのぉーー」
遊乃ちゃんは着替え中らしく、急かしている苑がいた。
お風呂場前に佇む妹…
なんとも奇妙な画。
「苑、なに急かしてんの。人には人のペースがあるんだから。
大体、あんたより遊乃ちゃんの方が後に入ったでしょ…」
「わ、お姉ちゃん」
わざとらしく驚いた苑の頭に、鉄槌をくらわせる。
「ゆっくりでいいからねー」と、着替えているであろう遊乃ちゃんに声を掛ける。
少し経って「はい」と、返事が返ってきた。
苑を見ると、頬を膨らませて、駄々をこねている子供のようだった。
遊乃ちゃんとは偉い違い。
比べるだけ無駄だとは思うけど、それでも比較するのは、人間の性だと思う。
妹…もう少し大人になってくれ。