フェアリーガーデン
丁度その時いいタイミングで、蒼馬が朝食を運んできた。



「誰が堅物だ。それに俺は妖精じゃない」

「さすがお父さん。空気読むね」

「お前な……」



お父さん……?



不思議そうな顔をする月葉。



「蒼馬はみんなのパパなんだ」

「そうなんだあ。真田くんお父さんっぽいもんね」

「でしょ?オレと蒼馬は二年生で月葉の先輩に当たるけど、畏まる必要ないよ。呼び方も好きにしていいし」



蒼馬の顔は心無しか疲れているようにみえる。旭が最初にお父さんと呼んで以来、すぐに広まり――いつの間にか、学園のお父さんである。



数分後。



「じゃあ……蒼ちゃんとあーくん!」



当然の如く蒼馬に拒否権などなく、旭は終始笑っていた。



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