守られお姫様
『父さん?!母さん?!何してんだよ!』




俺がリビングに入ってきたことにも気付かず未だ皿を投げ続ける母さんに俺は絶望してしまった。




「琉星?!お前は早く部屋に戻れ。」




『そんなこと言ったって…父さん怪我してる!』




よく見ると父さんのこめかみが怪我していた。




急いで駆け寄ろうとすると、




「来るな!これは琉星、お前には関係ない!早く戻れ!」




声を張り上げて言った。




俺じゃ、どうすることも出来ずに逃げるように部屋に戻った。




それから皿を投げ続ける音は消えたけど母さんの叫び声と父さんの叫び声が聞こえてきた。




その頃は子供だった俺はどうすることも出来ずにただ震えていた。




その後、




ガチャ




俺の部屋が開いて父さんが入ってきた。




思わず俺は寝たふりをした。




「琉星?…寝てるのか。すまない。母さんは今は落ち着いている。今は大丈夫だ。」




今はってことはまたああ言うふうになるってこと…?




怖い。




あの狂ったような光を映さない目、絶望しているあの顔、狂気に満ちた笑み。




あれが自分に向けられると思うと怖くて仕方がない。




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